きっと忘れない1

 もう5月。この時期になると毎年思い出す。2007年の5月、大好きだったZARDの坂井泉水さんが亡くなった時の事を。

 生まれて初めて僕が買ったCDは、1993年の冬、僕が小学校低学年だった時に発売された「きっと忘れない」だ。音楽なんて物にまだ全く興味も無い年頃だったのに、このZARDの曲だけはどうしても欲しいと思い、お年玉で買った記憶がある。それから10数年、ZARDが大好きで、ずっと聴き続けてきた。小学校6年生の時に盲腸で入院した時は、ひたすらZARDの曲が入ったカセットテープを聴き続け元気を貰い、中学生に入ってからは小室ファミリーや洋楽に浮気しつつも、それでも事あるごとにZARDを聴き、好きな人が出来た時、悲しい時、幸せな時、虚しい時、とにかくその全てをZARDと分かち合ってきた。だから突然の訃報の時、なんだか自分の青春が終わってしまった様な、そんな気分になったのを覚えている。実際は青春なんてまだ始まったばかりなのに、それが終わってしまったと思える程にその訃報は僕には残酷なニュースだったのだ。

 またちょうどその頃、僕の祖母も体が弱って入院していた。恐らくもうそんなに長くはないだろうと言われながら。だから坂井さんの死の後からはますます祖母の死を意識する様になり、絶対に後悔だけはしない様にと足繁くお見舞いにも通った。つい数か月前まで意識もはっきりしていてしっかり喋れていたのに、いつの間にか体も小さくなってしまってほとんど会話もままならない状況の祖母。自分以外に見舞客がいなくなった夜8時過ぎ、閉院時間ぎりぎりまで祖母の隣にいてZARDを聴かせたりして残された時間を共に過ごした。すぐ近くまで来ている別れの瞬間を感じながら。

 そして坂井さんの死から2ヶ月後に祖母も天に召される。坂井さんの死が自分の中でまるで予兆の様に響いていて、祖母の死も自分にとってはなるべくしてなった事だと、妙に自然に死を受け入れられた。もちろん涙は止まらなかったが、100歳近い年齢だったのだ、大往生じゃないかと自分で自分を慰める他無かった。

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